下地準備の重要性

下地の準備

粘着フィルムを貼る際に不純物を除くために下地を拭くのはもちろん下地のコンディションがベストな状態であることが重要です。サビ、塗装、カビ、水分などを除去し滑らかな状態にして下さい。

下地に何かしらの破損がある場合は必ず処理が必要となります。凹み、傷などはやすりなどで滑らかな状態にすることが重要です。木目調の下地はサンドペーパーなどで平滑性を与えてからSealant(シーラント)でさらに平滑層を作って下さい。塗装がない壁もSealantでの下塗りが必要となります。塗装が施された壁に関しても塗装による凹凸部分をキレイに滑らかな状態にして下さい。

全体を貼る前に下地と粘着フィルムの密着性を確認して下さい。多くの壁面には不純物が付着しないように加工されており、これらは粘着剤も付きにくい状態になっていることが多いです。

表面のクリーニング

1. 表面の汚れは洗浄液などで除去を試みて下さい。オイル、ワックス成分を含んだ洗剤は避けて下さい。またシリコン、ワックス成分が含まれた窓ガラス用洗剤も避けて下さい。

2. 糸くずなどが付着しないウェスなどで水分を拭きとって下さい。

3. 表面にオイル、グリス、ワックス化学薬品によるコーティングが施されている場合は溶剤系のクリーナーで除去を試みましょう。付着物を除去するためには何回も拭く必要があります。溶剤系のクリーナーを付ける場合はまずウェスに付けて汚れている箇所を拭きます。乾く前に未使用のウェスで溶剤を拭きとって下さい。使用しているウェスは小まめに取り替える、もしくはキレイな面を使いましょう。

    注意:クリーナーを使う前に目立たない部分で塗装面、壁面にダメージを与えないか事前に試して下さい。エッジや凹んだ部分へのクリーニングが不足しがちです、フィルムが浮いてくるなどの現象はこういったところから発生する場合が多いです。

4. 仕上げとしてイソプロピルアルコールを使って拭き取りましょう。

アクリル、ポリカーボネート(LEXAN®)のクリーニング

アクリルやポリカーボネートはアウトガスが発生することがあります。表面の保護フィルムを最低でも24時間前に剥がしておき、粘着フィルムを貼る前にガスを出させて下さい。貼る前に項目3のクリーニングを行い、あとはアウトガスを防ぐべくアクリルとポリカーボネートメーカーの取扱説明書を読んでから貼りましょう。これらは真空熱成形をする際に特に重要です。

塗装が新しい表面

新しく塗装が施された下地に貼る場合は塗装メーカーの取扱説明書を把握しておいて下さい。塗装を空気乾燥で乾かす場合最大21日間が必要となります。この日数は保管状況によって異なります(温度、湿度など)。最低でも7日間は空けるようにしてください。これらを無視して貼った場合、塗装の溶剤がフィルム粘着剤または塩ビに悪い影響を与え不具合に繋がる可能性があります。塗装をオーブンで乾かす場合、硬化乾燥後すぐにフィルムを貼り付けることが可能です。

自動車塗料とアフターマーケットのコーティング

自動車購入時ポリマープロテクションのコーティングが施されているケースが多々あります。コーティングは汚れを付きにくくしますが、粘着剤も接着しずらくなるため、粘着フィルムを貼る前にコーティングを除去するようにして下さい。

車両用ワックス

車両クリーニングをする前にワックスなどは除去して下さい。「表面のクリーニング」に記載しているステップ1-3を試みて下さい。

正しい手順を踏んでいれば、粘着フィルムがしっかりと貼り付き、耐久性も安定します。お客様も満足し、やり直し、剥離時のトラブルなどを避けることができます。

本記事の監修はRalph Wordon(ラルフ・ウォードン氏)、テクニカルマーケティングマネージャー、エイブリィ・デニソングラフィックス・ソリューションズ、アジア・パシフィック地域。