乾式(ドライ)/湿式(ウェット)の貼り付け

両方ともそれぞれに長所と短所があるので、作業者は乾式と湿式の両方を習得し具体的な応用事例に従い適宜選択してそれらの方法を用いることが重要となります。

 

推奨する乾式の貼り付け

一般的な経験則で言えば、下地が不透明である場合は乾式の貼り付け方法を推奨します。乾式で貼り付ける場合は、必ず下地と粘着剤がすぐに接着する間にすぐ粘着性が生じるため、湿式よりもかなり高めの初期粘着力がもたらされます。さらに、このプロセスはより迅速であり、24時間後に再度エッジにスキージーがけする必要はなく、かなりきれいに仕上がります。

ただし、乾式の貼り付けには湿式方法よりも高いスキルが要求されます。専門家のような見栄えとなりシワや気泡がない乾式の貼り付けを実現するには、実践のみにより磨かれる申し分ないスキージーがけと、貼り付けのテクニックが求められます。

 

湿式の貼り付け

一部のアクリルやポリカーボネート、ガラスの表面など、下地が透明か半透明で平らな場合は、湿式の貼り付け方法が推奨されます。この方法を使うと、シワや気泡がない好結果の貼り付けとなる利点があります。

湿式の貼り付けは、グラフィックスを窓や内照式看板に貼り付ける場合に理想的です。湿式の貼り付け方法では、ウィンドウグラフィックスや内照式看板の場合に目障りとなり、暗い影のマークが現れる原因となる気泡が、フィルムと下地の間にできるのを防ぐことができます。湿式の貼り付けは、とりわけ凸面や凹面など、複雑な3D面にグラフィックスを貼り付ける場合には推奨しません。

湿式の貼り付けには、アプリケーション液が必要です。市販されているアプリケーション液を使うことができますが、作業者のほとんどは液体ソープと水を使い独自の貼り付け液を混合しています。

湿式の貼り付け方法を用いる際に十分な粘着性を実現するには、液体ソープと水の比率を正確に計ることが重要になります。ソープの量が多すぎると粘着剤が汚れて粘着度が落ちることになります。この場合、エッジとコーナーはめくれ上がった状態になり、深刻なケースではデカール(ステッカー)やグラフィック全体が下地から外れ落ちてしまいます。

推奨するソープと水の比率は、純石鹸の液体ソープ2、3滴に対してきれいな水1リットルです。界面活性剤、乳化剤、モイスチャライザー、香料といった添加剤の入った液体ソープと一緒に使用することは避けてください。これらの添加剤は粘着剤に害を及ぼし、粘着力を損ねることになります。上記の比率で混合した添加剤が入っていないベビーシャンプーが、湿式の貼り付けでは大いに推奨されます。

 

湿式の貼り付けプロセス

湿式で貼り付けを行う際には、しっかりと重ね合わせるようなスクイージがけで粘着剤と下地の間の液体をすべて除去(スクイージ)する必要があります。スクイージがけは、まず左から右へ、次に上から下へと、必ず二回行うことが求められます。

アプリケーションテープを使用する場合は、テープを剥がす前に粘着が安定するまで少なくとも30分間待つことが求められます。24時間経ったら、グラフィックやデカ-ルのエッジを再スクイージしてエッジとコーナーがめくれ上がるリスクを抑えます。

注意:反射シートとポリエステル製品(クローム系)については、アプリケーション液が金属皮膜レイヤーの層向剥離や腐食を引き起こすため、湿式の貼り付けは絶対に行わないでください。

 

貼り付けには知識を活かす

乾式であれ湿式であれ、作業に関してしかるべき貼り付け方法を選択するのは、正しい基準を適用するということです。下地や製品について知っていれば、貼り付けは毎回うまくいくでしょう。

 

エイブリィ・デニソン南アジア・サブサハラ・アフリカを担当するテクニカルマーケティングマネージャーラルフ・ウォードン氏